新規創業、法人成りをご検討の方々へ
新規創業を検討する際に、個人事業主にするべきか、法人を設立するか悩まれると思います。
又、個人事業主の方で売り上げが増えてきても、その分税金も高くなり、手元に残るお金が意外と少ないことに悩まれる方も多いことでしょう。
一般的に法人税は利益が増えても、原則一定税率なのに対し、個人事業主では所得が増えるほど税率が高くなる累進税率で課税されます。
参照:(国税庁ホームページより抜粋)
法人税の税率
区分 | 適用関係(開始事業年度) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
普通法人 | 平28.4.1以後 | 平30.4.1以後 | 平31.4.1以後 | |||
資本金1億円以下の法人など(注1) | 年800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% | 15% | 15% | |
適用除外事業者 | 19% | |||||
年800万円超の部分 | 23.40% | 23.20% | 23.20% | |||
上記以外の普通法人 | 23.40% | 23.20% | 23.20% |
所得税
所得税の速算表 | ||
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課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
そのため、売上が大きい場合は、法人税が有利になります。その他にも、会社組織にした方が経費にできる費用が増加して有利となります。
個人事業主は売上から必要経費を差し引いた残り全部が自分の所得です。一方、会社の場合は、会社が社長である自分に給与を支払うという特殊な形式になります。
役員報酬を含めて給与として貰うお金は、会社の売上から必要経費を差し引いた残りの金額から、さらに給与所得控除といって役員報酬の一定割合を必要経費とみなして所得から差し引くことができるため(但し役員報酬は定期同額の必要があります)、法人化した方が節税できる可能性が高くなります。
また意外と盲点なのが、社会保険関係です。
個人事業主の方は「国民健康保険」と「国民年金」
法人の代表の方は「健康保険」と「厚生年金」
となります。
「国民年金」が定額制なのに比べ「厚生年金」は累進的で、「厚生年金」の方が金額は高くなると思います。
しかし、逆にその分だけ多く年金をもらえます。
参照:日本年金機構のホームページより抜粋
令和3年度(月額) | 令和2年度(月額) | |
国民年金(老齢基礎年金(満額)) | 65,075円 | 65,141円 |
厚生年金※(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額) | 220,496円 | 220,724円 |
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
問題は、「国民健康保険」です。
参照:八女市のホームページより抜粋
令和3年度の国民健康保険税の税率表 | |||
医療分 | 後期支援分 | 介護分 (40〜64歳の人) | |
所得割 | (令和2年中の総所得額等−43万円)の8.2% | (令和2年中の総所得額等−43万円)の2.7% | (令和2年中の総所得額等−43万円)の2.3% |
均等割 | 被保険者1人当たり24,000円 | 被保険者1人当たり7,300円 | 被保険者1人当たり9,000円 |
平等割 | 1世帯当たり24,000円 | 1世帯当たり7,000円 | 1世帯当たり7,000円 |
賦課限度額 | 630,000円 | 190,000円 | 170,000円 |
- 税は、医療分+後期支援分+介護分(40歳以上65歳未満の国保加入者)の合計になります。
- 所得割、均等割は被保険者ごと、平等割は世帯ごとに計算します。
- 医療分、後期支援分、介護分を計算した税額がそれぞれの限度額を超えた場合、賦課限度額の税額になります。
賦課限度額合計は990,000円です。(所得の13.2%)
推定年間所得793万円以上
*注意:あくまで机上の計算であり、諸条件により計算が違います
単純にこれを法人代表者の「健康保険」の報酬額とすると月額138万円で年間1,656万円
一番問題なのは、均等割りの部分です。
扶養家族が多いほど、金額が上がるのです。
「健康保険」には均等割の概念はありませんので、扶養家族が多くても一律です。
ですから、未婚の方ならいいけど、扶養家族(親、配偶者、子供など)がおられる方は大変です。
また、「健康保険」は労使折半ですので、自分は半分で済み、あとは会社の経費!
したがって、年間所得が330~400万円を超える水準になってくれば法人化を検討した方がよいでしょう。
細かい計算は税理士ではございませんので当事務所はできませんが、提携先の会計事務所へシミュレーションを依頼することも可能です。
山本けいき事務所は、新規創業、法人成りをご検討の方々へアドバイザーとして、二人三脚で問題解決させていただきます。
その一環としてこのホームページにおいて、自力で合同会社を立ち上げた過程をブログにて公開しておりますので、ノウハウの一部となれば幸いです。
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